随分前の情報ですが、2014年にマニラのいくつかの医療機関を2日かけて回りました。マカティに着いて翌日から車をチャーターして近隣の病院からスタートしました。

まず、ケソン地区にあるセントルークスメディカルセンター病院 Global City(St.Lukes Medical Center)です(写真上)。日本の聖路加病院と同じ名前ですが関係は分かりません。

医療認証機関JCIの認証を国内で始めて受けたようでこの病院は明らかにフィリピントップクラスの病院です。ロビーには医師他30名近くのダビンチチームが様々なオペを行った実績やPET検査を含む人間ドックのプロモーション(写真中)が行われていました。病院の歴史を説明するボードには『所有はファンド運営は専門の病院管理会社が委託されている』という趣旨の説明も書いてありました。

ジャパンデスクもあり、日本人への対応も円滑です。日本人の多くが当院を利用している理由ですね。ちなみにベッド数は約650床、多床室と個室があり約半分を占める個室は、「スタンダード」、「デラックス」、「スイート」などのランクがあり1泊の最低室料は6万円でした。

2012年に「世界の最も美しい病院(One of the Most Beautiful Hospital in the World)」に選ばれているとの説明もありました(視察の後2014年には「世界のベストホスピタル2014(20 Best Hospital Worldwide for 2014)」に選出されたようです)。

次にマカティメディカルセンター病院(Makati Medical Center)を視察しました。マカティ市の中心地に位置し、病床数600床以上でセントルークスにも勝るとも劣らない印象でした。フィリピンらしく入口のセキュリティが厳しく(セントルークスとは全く異なっていました)来院者をチェックしていましたが、中に入ると様々なショップやレストランがある小さなショッピングセンターといった様相を呈しています。

廊下にはいわゆる訪問診療であるホームドクターのディパートメントが表示してあり日本で在宅療養支援病院の企画をしていた時期であり親近感が湧きました。他のASEANの病院のように部屋ごとに医師の名前が記載してあり、いわゆる登録医の名前が掲示されているボードがあり、マレーシアのクアラルンプールでサンウェイシティのサンウェイメディカルセンターを訪問したときに、事務責任者からJCIの認証を受けたいのに医師が協力してくれないで困るという話があったことを思い出しました。東アジアの病院は日本のように医師が病院に所属していることが一般的ですがASEANの民間病院ではこうした形態になっているのが通常なんだろうと納得しました。

セント・ルークス・メディカルセンターよりは設備が劣るようですが、マカティ・メディカル・センターにはやはり先端設備が整っていて、マカティ・シティではかなり評判の高い病院と一緒に回ってくれた車のドライバーが話してくれました。

中国系の病院や市立病院、例えばサンタアナ病院(Santa Ana hospital) =元エストラーダ大統領の財団の設立であるサンタのニューパナデロスストリートにある10階建ての500床の野戦病院のような市営病院[写真下]、担当者からヒヤリング[サムネイル])を手あたり次第に視察したのち、人で溢れかえっているフィリピン心臓病センター(Philippine Heart Center)に行きました。欧米で研鑽を行った600名の医師(当時)により運営されていましたが、心臓病の医学的および外科的治療において、アジアを代表する医療機関としてランク付けされている病院です。

夕方暗くなってからの訪問でした。ここはまったくノーアポでの訪問でしたので入口のセキュリティで止められましたが日本から来て病院について説明して欲しいと粘りマネージャーを呼んでもらい中に入って見学を許されました。驚いたのは予算統制とマーケティングのディパートメントがあったことです。日本の病院組織ではこうした部署は絶対にありません。さらに当院は公的病院でありながら病院管理会社に管理を移管するという話もあると聞き、日本の病院運営とは異なるまさに一般企業と同じ経営をしていくことが当たり前の仕組みであると思いました。なお当院は心臓専門ですが、当然循環器の疾患も治療しているだけではなく、連関する他の診療科目を開設するといわれていました。

翌日には日本人会が運営を行っているマニラ日本人会診療所 (The Japanese Association, Manila Inc.)を訪問しました。日本人医師が常駐する診療所です。診察を受けてみようということになり、「頭痛」ということで受診しました。先生のお名前は失念しました待ち時間もほとんどなく丁寧に診察をしていただきました。院外薬局で調剤をしてもらうために処方箋を持って近隣のOTCのドラッグストアに並び薬をもらう経験もしてみましたが、日本とそん色ないながれのなかで調剤をしてもらうことができました。

ということで、結局のところフィリピンの都会の一部の大型病院においては日本と相違のない、むしろホスピタリティの優れた対応をしてもらえる医療が行われているという話を裏付ける体験ができました。

マニラの多くの病院は夜遅くまで診察をしているところが多く、出会う医師は、東アジアや他のASEANの国々で触れ合った医師と同様に、マニラでも目がキラキラしていてきりっとしたイメージを持ちました。何処の国でも使命感のある医師が医療に携わり国民の守っていることに感動したツアーでした。(文責:石井友二)

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