
ベトナム経済は近年、驚異的な成長を続けており、その勢いは国内外から高く評価されています。
まず、実質GDP成長率は2024年に7.1%と、東南アジア諸国の中でも上位の水準を維持しました。世界銀行によると、2025年の成長率は6.8%、2026年は6.5%と予測されており、安定的な拡大が見込まれています。政府はさらに野心的な目標を掲げており、2025年のGDP成長率目標を当初の6.5%から7.0~8.0%に引き上げました。
これは、省庁横断での公共投資拡大や規制緩和を通じた民間投資の呼び込みを加速することで実現を目指すものです。外資誘致も好調で、2024年の外国直接投資(FDI)流入額は約382億ドルに達し、世界有数の受入国に名を連ねました。製造業が中心となり、特に電子機器や自動車部品などの先端産業への投資が拡大しています。2025年に入ってからもFDIは勢いを失わず、1月単月で前年同月比48.6%増の43.3億ドルを記録しました。外資企業はベトナムをグローバル生産拠点として位置付け、サプライチェーンの多元化を進めています。輸出も好調で、2024年の輸出額は約4,055億ドルに達しました。主要品目は電子・電気機器、繊維製品、靴類などで、米中貿易摩擦や世界的な景気減速にもかかわらず、高い伸びを維持しています。
インフラ整備も急速に進展しており、2024年11月にはハノイ-ホーチミン間を結ぶ北南高速鉄道(計2,070km、総投資約670億ドル)が国会で承認されました。これにより、物流効率の向上と域内連携強化が期待されています。このほか、観光・サービス業も回復基調にあり、政府は長期滞在ビザ(ゴールデンビザ)の導入を検討するなど、人的資本・観光収入の増加にも注力しています。貧困率は2010年の14%から2023年には4%未満へ低下し、所得水準の底上げも着実に進んでいます。
これらを総合すると、ベトナム経済は高い成長率を背景に、産業の高度化とインフラ整備を同時に推進する「量×質」の拡大フェーズに突入しており、今後も持続的な発展が期待できると考えています。
- カテゴリー
- アジアの医療Blog